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2025/11/07 コラム

譲渡価格の妥当性を判断するEBITDA倍率とは

薬局のM&Aや事業承継が増える中で、「譲渡価格は妥当なのか」という点は多くの経営者が悩むポイントです。
特に、薬局のように安定した収益が見込まれる業種では、単純な売上や利益額だけでなく、

EBITDA(イービッダー)倍率という指標を用いて企業価値を評価することが一般的になっています。
本記事では、このEBITDA倍率とは何か、どのように算出し、薬局の譲渡価格判断にどのように役立つのかをわかりやすく解説します。

 

EBITDAとは何か

 

EBITDAとは、「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略で、

日本語では「利払い・税引き・減価償却前利益」と訳されます。
つまり、企業が本業でどれだけの現金収益力を持っているかを示す指標です。

 

薬局の場合、家賃や人件費などの運営コストを除いた本業の利益をベースに考えることで、

企業が持つ実質的な収益力をより正確に把握できます。

EBITDAは次の式で求められます。

 

EBITDA = 営業利益 + 減価償却費

 

この数値は「キャッシュフローに近い利益」とも言われ、企業の継続的な稼ぐ力を示します。

 

EBITDA倍率とは

 

EBITDA倍率(EBITDAマルチプル)とは、企業価値(譲渡価格)をEBITDAで割った値のことです。
M&Aの場面では、次のように計算されます。

 

EBITDA倍率 = 譲渡価格 ÷ EBITDA

 

たとえば、EBITDAが2,000万円の薬局が1億円で譲渡された場合、EBITDA倍率は「5倍」となります。
この「倍率」が、その業界や規模に対して高いのか低いのかを比較することで、譲渡価格の妥当性を判断できます。

 

薬局業界におけるEBITDA倍率の目安

 

EBITDA倍率は業種や経営規模によって異なりますが、薬局業界ではおおむね2〜5倍程度が一般的な水準とされています。

ただし、次のような要因によって倍率は上下します。

 

  • 立地条件(駅前や医療モール併設など)
  • かかりつけ薬局としての患者数の安定性
  • 在宅医療への対応体制
  • 複数店舗展開か単独店舗か
  • 経営者依存度の低さ(スタッフによる運営体制)

 

例えば、安定した処方箋枚数と複数のドクターとの関係を持つ店舗は、

買い手にとってリスクが低いため、EBITDA倍率が高く評価されやすい傾向があります。

 

EBITDA倍率を使う際の注意点

 

EBITDA倍率は便利な指標ですが、あくまで「一つの目安」であり、すべてを決めるものではありません。

特に注意すべきポイントは以下の通りです。

 

  • 一時的な利益増減を補正して算出する必要がある
  • オーナー給与や家族人件費を適正水準に調整する
  • 非経常的な費用(改装費、トラブル対応費など)は除外する
  • 店舗ごとの収益構造の違いを把握する

 

このように、単に数字を当てはめるだけでなく、実態に即した調整を行うことが重要です。

専門家のサポートを受けながら、正確なEBITDAを算出し、

妥当な倍率で評価することが、納得感のある譲渡価格を導く鍵となります。

 

公平で納得のいく薬局M&Aのために

 

EBITDA倍率を活用することで、感覚的ではなく、数値に基づいた客観的な価格判断が可能になります。
しかし、薬局ごとに経営構造や地域特性が異なるため、同じ倍率でも価値判断が変わることがあります。

 

私たち新橋税理士法人は、薬局業界に特化した会計事務所として、日々の経営支援だけでなく、

M&Aや事業承継における譲渡価格の妥当性評価、買い手との交渉支援などを行っています。

 

薬局の譲渡や承継をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
豊富な業界データと経験をもとに、安心して次のステージへ進むためのお手伝いをいたします。

 

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