薬局を安定的かつ健全に経営していくためには、「内部統制」の仕組みを整えることが欠かせません。
内部統制とは、従業員による不正やミスの防止、業務の効率化、法令遵守の確保など、薬局の経営リスクを未然に防ぐための社内ルールや業務フローのことを指します。
調剤報酬請求、レセプト業務、在庫管理、現金の取り扱い、人事・労務管理など、薬局では日々多くの業務が行われており、これらが属人的になってしまうと、不正やトラブルの温床になりかねません。
今回は薬局経営における内部統制について解説します。
これらのリスクをコントロールし、業務の透明性を高めるために内部統制の仕組みが必要です。
以下のような取り組みを行うことで、内部統制の仕組みを実現することができます。
項目 | 主な対応策 |
---|---|
業務の分担 | 会計処理・レセプト処理・在庫管理などを1人に集中させず、役割を分ける |
業務マニュアルの整備 | レセプト請求や在庫管理などの手順を明文化し、属人化を防ぐ |
定期的なチェック体制 | 月次での帳簿確認や在庫棚卸を定期的に実施 |
ITの活用 | クラウド会計やレセプト連携システムで自動化・ログ管理 |
不正防止策 | 金庫のアクセス制限、処方箋スキャンの保存義務付けなど |
①不正やミスの早期発見が可能になる
業務をルール化し、チェック体制を整えることで、レセプトの誤請求や在庫の紛失、現金の過不足といった問題を早期に発見できます。経営者が気付かない間に損失が拡大してしまうリスクを防げます。
②業務の属人化を防ぎ、従業員の退職時の引き継ぎもスムーズ
一部のスタッフだけが業務内容を把握している状態だと、急な退職や休職時に業務が滞ってしまいます。内部統制により業務を仕組み化すれば、引き継ぎや代替対応がスムーズになります。
③従業員教育・マネジメントの質が向上する
業務フローやルールが明確になることで、新人研修やスタッフ教育の効率がアップします。曖昧な指示が減り、従業員の納得感や業務への理解度も高まります。
④会計事務所や監査、保険請求審査対応もスムーズに
帳簿や証憑が整備されていれば、税理士とのやりとりもスピーディになります。また、調剤報酬の審査機関など外部からのチェックが入った場合でも、適切に説明・対応することができます。
⑤複数店舗経営に向けての「仕組み化」の第一歩
業務の標準化・ルール化が進んでいれば、2店舗目・3店舗目の開業時にもスムーズに体制を横展開できます。「人に依存しない薬局経営」の実現に向けた第一歩となります。
内部統制の整備は、薬局経営を「ヒト頼り」から「仕組み頼り」へと転換するための第一歩です。
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