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2026/02/20 コラム

少額資産40万円時代に備える薬局の設備投資戦略

薬局経営において、設備投資と節税対策は切り離せないテーマです。

特に近年は、物価高騰やDX推進の流れを受けて、分包機や電子薬歴システムなどの設備投資額が上昇しています。

こうした中、令和8年度(2026年度)税制改正において

「少額減価償却資産の特例」の限度額が30万円から40万円へ引き上げられる見通しとなりました。

本記事では、改正のポイントと実務上の注意点、とりわけ償却資産税との関係について解説いたします。

 

少額減価償却資産の特例とは何か

 

通常、10万円以上の備品や機器を購入した場合は、その年に全額を経費にすることはできず、

法定耐用年数に応じて数年にわたり減価償却を行います。

しかし、中小企業(資本金1億円以下など)については特例が設けられており、

一定の要件を満たせば少額資産を一括で損金算入することが可能です。

これまでの制度概要は以下のとおりです。

 

  • 1資産あたり30万円未満であること
  • 年間合計300万円までが上限
  • 青色申告法人等であること

 

今回の改正により、この「1資産あたり30万円未満」という基準が「40万円未満」へ引き上げられる見込みです。

背景には、物価上昇や医療DX推進に伴う設備の高額化があります。

これにより、従来は32万円や35万円といった理由で通常償却せざるを得なかった資産も、

購入年度に全額経費計上できる可能性が高まります。

 

薬局で想定される40万円前後の設備投資

 

薬局実務では、30万円から40万円の価格帯に多くの設備が集中しています。

具体的には次のようなものが挙げられます。

 

  • 小型の自動分割分包機
  • 電子薬歴システム用サーバーや端末一式
  • 調剤監査システムのカメラ機器
  • 在庫管理用端末やバーコード機器
  • 高機能エアコンや空気清浄機
  • 待合室用デジタルサイネージ

 

これらを導入した年度に一括で損金算入できれば、その期の課税所得を直接圧縮できます。

結果として法人税や所得税の負担を抑え、手元資金を厚くすることが可能です。

特に利益が大きく出ている年度に活用すれば、キャッシュフロー改善策として有効に機能します。

単なる節税ではなく、「資金を社内に残す戦略」として位置づけることが重要です。

 

見落としがちな償却資産税との関係

 

ここで注意が必要なのが、償却資産税との関係です。

多くの経営者様が誤解しやすい点ですが、

「法人税上で一括経費にできる」ことと「固定資産税(償却資産税)がかからない」ことは同義ではありません。

資産区分ごとの取り扱いは以下のとおりです。

 

  • 10万円未満の少額資産
     → 法人税:全額経費
     → 償却資産税:非課税
  • 20万円未満の一括償却資産(3年均等償却)
     → 法人税:3年で均等償却
     → 償却資産税:非課税
  • 30万円(改正後は40万円)未満の特例適用資産
     → 法人税:全額経費
     → 償却資産税:課税対象

 

つまり、少額減価償却資産の特例を利用して一括損金算入した場合でも、自治体への償却資産申告は必要となり、償却資産税は課税されます。

薬局は分包機やレセコン、監査機器など償却資産が多い業種です。

自治体ごとに定められている免税点(課税標準額の合計150万円未満)も踏まえながら、

 

  • 特例を使うか
  • 一括償却資産とするか
  • 通常の減価償却とするか

 

をシミュレーションすることが重要です。

国税と地方税を総合的に見た判断が、真の意味での節税につながります。

 

投資タイミングとキャッシュフロー戦略

 

今回の限度額引き上げは、投資のタイミング戦略にも影響を与えます。

例えば、

 

  • 利益が想定以上に出ている期末での設備導入
  • IT導入補助金などとの併用
  • 分院展開前のシステム更新

 

といった場面で有効です。

 

補助金を活用し自己負担額が40万円未満となる場合、その金額を即時償却することで、

税負担を抑えつつ実質的なキャッシュ流出を最小限にできます。

また、消費税の経理方式にも注意が必要です。

 

  • 税抜経理の場合:税抜価格で40万円未満かどうかを判定
  • 税込経理の場合:税込価格で判定

 

この違いにより、特例の適用可否が変わるケースもあります。

設備投資前に必ず確認することが重要です。

 

薬局専門会計事務所による戦略的サポート

 

少額減価償却資産の特例拡充は、単なる「限度額アップ」ではありません。

薬局経営における投資判断、節税対策、キャッシュフロー管理を総合的に考える好機です。

しかし、

 

  • 償却資産税とのバランス
  • 補助金との関係
  • 消費税の処理方法
  • 将来の利益予測との整合性

 

などを踏まえた判断は、専門的な知識が不可欠です。

 

新橋税理士法人は、薬局専門の会計事務所として、調剤機器投資やDX導入、税制改正対応まで数多くの支援実績がございます。

単なる申告業務にとどまらず、節税とキャッシュフローを両立させる戦略的なご提案を行っております。

令和8年度税制改正への対応や設備投資のご相談がございましたら、ぜひ新橋税理士法人までお気軽にお問い合わせください。

薬局経営者の皆様の持続的な成長と安定経営を、専門的な視点から全力でサポートいたします。

 

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