薬局経営において、設備投資と節税対策は切り離せないテーマです。
特に近年は、物価高騰やDX推進の流れを受けて、分包機や電子薬歴システムなどの設備投資額が上昇しています。
こうした中、令和8年度(2026年度)税制改正において
「少額減価償却資産の特例」の限度額が30万円から40万円へ引き上げられる見通しとなりました。
本記事では、改正のポイントと実務上の注意点、とりわけ償却資産税との関係について解説いたします。
通常、10万円以上の備品や機器を購入した場合は、その年に全額を経費にすることはできず、
法定耐用年数に応じて数年にわたり減価償却を行います。
しかし、中小企業(資本金1億円以下など)については特例が設けられており、
一定の要件を満たせば少額資産を一括で損金算入することが可能です。
これまでの制度概要は以下のとおりです。
今回の改正により、この「1資産あたり30万円未満」という基準が「40万円未満」へ引き上げられる見込みです。
背景には、物価上昇や医療DX推進に伴う設備の高額化があります。
これにより、従来は32万円や35万円といった理由で通常償却せざるを得なかった資産も、
購入年度に全額経費計上できる可能性が高まります。
薬局実務では、30万円から40万円の価格帯に多くの設備が集中しています。
具体的には次のようなものが挙げられます。
これらを導入した年度に一括で損金算入できれば、その期の課税所得を直接圧縮できます。
結果として法人税や所得税の負担を抑え、手元資金を厚くすることが可能です。
特に利益が大きく出ている年度に活用すれば、キャッシュフロー改善策として有効に機能します。
単なる節税ではなく、「資金を社内に残す戦略」として位置づけることが重要です。
ここで注意が必要なのが、償却資産税との関係です。
多くの経営者様が誤解しやすい点ですが、
「法人税上で一括経費にできる」ことと「固定資産税(償却資産税)がかからない」ことは同義ではありません。
資産区分ごとの取り扱いは以下のとおりです。
つまり、少額減価償却資産の特例を利用して一括損金算入した場合でも、自治体への償却資産申告は必要となり、償却資産税は課税されます。
薬局は分包機やレセコン、監査機器など償却資産が多い業種です。
自治体ごとに定められている免税点(課税標準額の合計150万円未満)も踏まえながら、
をシミュレーションすることが重要です。
国税と地方税を総合的に見た判断が、真の意味での節税につながります。
今回の限度額引き上げは、投資のタイミング戦略にも影響を与えます。
例えば、
といった場面で有効です。
補助金を活用し自己負担額が40万円未満となる場合、その金額を即時償却することで、
税負担を抑えつつ実質的なキャッシュ流出を最小限にできます。
また、消費税の経理方式にも注意が必要です。
この違いにより、特例の適用可否が変わるケースもあります。
設備投資前に必ず確認することが重要です。
少額減価償却資産の特例拡充は、単なる「限度額アップ」ではありません。
薬局経営における投資判断、節税対策、キャッシュフロー管理を総合的に考える好機です。
しかし、
などを踏まえた判断は、専門的な知識が不可欠です。
新橋税理士法人は、薬局専門の会計事務所として、調剤機器投資やDX導入、税制改正対応まで数多くの支援実績がございます。
単なる申告業務にとどまらず、節税とキャッシュフローを両立させる戦略的なご提案を行っております。
令和8年度税制改正への対応や設備投資のご相談がございましたら、ぜひ新橋税理士法人までお気軽にお問い合わせください。
薬局経営者の皆様の持続的な成長と安定経営を、専門的な視点から全力でサポートいたします。
