EBITDAとは、「Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization」の略で、
日本語では「利払い・税引き・減価償却前利益」と訳されます。
つまり、企業が本業でどれだけの現金収益力を持っているかを示す指標です。
薬局の場合、家賃や人件費などの運営コストを除いた本業の利益をベースに考えることで、
企業が持つ実質的な収益力をより正確に把握できます。
EBITDAは次の式で求められます。
EBITDA = 営業利益 + 減価償却費
この数値は「キャッシュフローに近い利益」とも言われ、企業の継続的な稼ぐ力を示します。
EBITDA倍率(EBITDAマルチプル)とは、企業価値(譲渡価格)をEBITDAで割った値のことです。
M&Aの場面では、次のように計算されます。
EBITDA倍率 = 譲渡価格 ÷ EBITDA
たとえば、EBITDAが2,000万円の薬局が1億円で譲渡された場合、EBITDA倍率は「5倍」となります。
この「倍率」が、その業界や規模に対して高いのか低いのかを比較することで、譲渡価格の妥当性を判断できます。
EBITDA倍率は業種や経営規模によって異なりますが、薬局業界ではおおむね2〜5倍程度が一般的な水準とされています。
ただし、次のような要因によって倍率は上下します。
例えば、安定した処方箋枚数と複数のドクターとの関係を持つ店舗は、
買い手にとってリスクが低いため、EBITDA倍率が高く評価されやすい傾向があります。
EBITDA倍率は便利な指標ですが、あくまで「一つの目安」であり、すべてを決めるものではありません。
特に注意すべきポイントは以下の通りです。
このように、単に数字を当てはめるだけでなく、実態に即した調整を行うことが重要です。
専門家のサポートを受けながら、正確なEBITDAを算出し、
妥当な倍率で評価することが、納得感のある譲渡価格を導く鍵となります。
EBITDA倍率を活用することで、感覚的ではなく、数値に基づいた客観的な価格判断が可能になります。
しかし、薬局ごとに経営構造や地域特性が異なるため、同じ倍率でも価値判断が変わることがあります。
私たち新橋税理士法人は、薬局業界に特化した会計事務所として、日々の経営支援だけでなく、
M&Aや事業承継における譲渡価格の妥当性評価、買い手との交渉支援などを行っています。
薬局の譲渡や承継をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
豊富な業界データと経験をもとに、安心して次のステージへ進むためのお手伝いをいたします。
