このたび、初の著書となる『薬局経理 正しい初め方』を出版いたしました。
薬局の開業を目指す方や、すでに経営を始めたばかりの方に向けて、薬局経営に必要な経理・会計の基本をわかりやすく解説した一冊です。

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薬局経営は、一般的な小売業とは異なる構造を持っています。
売上の中心となる「調剤報酬」は保険制度に基づき、収入の多くが月末締め・翌月支払いという独特のサイクルで動きます。
また、容器代や一部商品の販売などには消費税が課税される一方、調剤報酬は非課税取引であるため、
課税・非課税が混在する複雑な会計処理が求められます。
こうした特徴を正しく理解しないまま日々の経理を進めてしまうと、
といった事態にもつながりかねません。
経営者自身が「薬局の数字の構造」を理解しておくことは、今後の経営判断や資金調達、出店戦略を考えるうえでも欠かせません。
本書では、難解な理論ではなく、現場に即した実務的な経理の進め方を、具体的な事例と図解で解説しています。
本書を執筆しようと思ったきっかけは、
薬局の経営者の方々と関わる中で、「同じ質問を繰り返し受ける」ことが増えたことにあります。
たとえば、
こうした質問を受けるたびに、
「薬局の経理・会計の考え方をまとめた基本書があれば、多くの方の助けになるのではないか」と感じるようになりました。
また、医療機関を専門とする税理士は少なくありませんが、薬局を専門とする税理士は非常に少ないのが現状です。
私自身、他の税理士の先生から薬局のお客様を引き継ぐ機会があり、その際に
「通常の会社と同じような記帳方法では、薬局にとって本当に有用な帳簿になっていない」
と感じることがありました。
薬局には薬局の経営特性があり、
調剤報酬明細書や薬価改定の仕組み、在庫回転率、技術料の分析などを理解していないと数字の意味が伝わらない場面が多くあります。
だからこそ、私は「薬局専門の税理士」として、より実務に根ざした支援を行いたいと考えるようになりました。
『薬局経理 正しい初め方』では、薬局の開業準備から日々の経理処理、決算・税金の考え方、士業の活用方法までを体系的にまとめています。
特に、薬局にとって重要な「調剤報酬の仕組み」や「棚卸の経理処理」など、日常業務でつまずきやすいテーマを丁寧に解説しています。
本書は、これから薬局を開業する方はもちろん、すでに経営を始めたばかりの方、
数字への理解を深めたい経営者の方にとって、日々の判断を支える“経営の教科書”のような存在を目指しています。
経理や会計は、専門家任せにする部分も多い分野ですが、
「なぜこの費用が経費になるのか」「どの数字が利益に影響しているのか」を理解している経営者ほど、
資金繰りにも強く、経営判断にも迷いがありません。
薬局経営は、制度改正・薬価改定などの影響を大きく受ける業界です。
そんな中で、数字を自分の言葉で説明できる経営者が増えることが、結果的に地域医療を支える薬局の安定経営につながると信じています。
『薬局経理 正しい初め方』は、専門的な内容をやさしい言葉でまとめた実務書です。
税理士や会計士のための解説ではなく、薬局経営者自身が理解し、行動に移せることを意識して執筆しました。
この本が、これから薬局を開業する方、あるいはすでに薬局を経営している方にとって、
「数字の意味を理解し、自信を持って経営に臨むための最初の一歩」となれば幸いです。
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