M&Aのご相談を受けると、必ずといっていいほど出てくる専門用語の一つに 「EBITDA(イービットディーエー)」 があります。
M&Aの検討資料や仲介会社の説明に頻繁に登場するものの、具体的に何を意味するのか分からず不安を感じる経営者様も少なくありません。
本記事では、薬局M&AにおけるEBITDAとは何か、その計算方法、どのように利用されるのかを整理してご紹介します。
EBITDAは、英語の Earnings Before Interest, Taxes, Depreciation and Amortization の略で、
日本語にすると「利払い・税金・減価償却費控除前利益」となります。
簡単に言えば、本業でどれだけ現金を生み出す力があるか を示す指標です。
薬局M&Aの現場では「営業利益」や「純利益」よりも、このEBITDAが取引の基準として使われることが多いのが特徴です。
EBITDAの計算方法
EBITDAには、目的に応じたいくつかの算定方法があります。
「営業利益+減価償却費+のれん償却費」とする場合もあれば、投資家向け資料ではさらに調整項目を加えるケースもあります。
しかし、最も一般的に用いられるのは「営業利益+減価償却費」 というシンプルな方法です。
たとえば、ある薬局の決算書で次の数値があったとします。
営業利益:2,000万円
減価償却費:500万円
この場合、
EBITDA = 2,000万円 + 500万円 = 2,500万円
となります。
減価償却費は現金の支出を伴わない費用であるため、これを足し戻すことで、薬局が実際に稼ぐ力をより正確に把握できるのです。
EBITDAは、営業活動からどれだけのキャッシュを生み出しているかを示す指標です。
「利益が出ているように見えるが現金は不足している」といった決算書の見え方を修正し、実態を把握しやすくなります。
薬局は地域や規模によって税率や借入金の状況が異なります。純利益では比較が難しい一方、EBITDAであれば財務構造の違いを排除し、薬局同士を横並びで比較できます。
M&Aでは「企業価値 = EBITDA × 倍率(マルチプル)」で評価されることが一般的です。
たとえば、EBITDAが3,000万円で倍率が4倍なら、その薬局の理論的な価値は1億2,000万円と見積もられます。
便利なEBITDAですが、過信は禁物です。
したがって、EBITDA単独で判断するのではなく、キャッシュフローや将来投資計画と併せて分析することが不可欠です。
薬局M&Aでよく登場する「EBITDA」は、薬局の 本業がどれだけ現金を生み出す力を持つか を示す重要な指標です。
当事務所では、薬局専門の会計事務所として、EBITDAの算定・分析、修正PLの妥当性検証、資金シミュレーションまで一貫してサポートしています。
「EBITDAの見方が分からない」「この案件の評価は妥当なのか知りたい」 といった薬局経営者様は、ぜひお気軽にご相談ください。