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2025/07/19 コラム

赤字決算でも見直すべき重要なポイントとは?

今回は「赤字決算だったからこそ、見直していただきたい点」についてお話しします。
法人であれば、赤字決算により法人税は均等割のみとなり、繰越欠損金の活用(今後の黒字との相殺)を検討するケースも多いと思います。
しかし、赤字決算だからこそ意識しておきたいポイントは他にもあります。薬局経営に活かしていただくために、いくつか整理してご紹介します。

臨時的な費用をきちんと整理できていますか?

 

開業初年度や事業承継直後などは、備品の購入、各種手数料、法人設立費用など、臨時的な支出が発生しやすい時期です。
帳簿上どのように処理するかは個別の判断もありますが、「それらを除いた状態で経営成績はどうだったのか?」を把握することが重要です。

臨時的な支出を除いても赤字が続く場合は、本業自体の収益構造に課題がある可能性も。
どのような支出が一時的で、今後は発生しないものなのか、帳簿上の区別と実態の分析が大切です。


減価償却費を意識しましょう

 

赤字額を判断する際は、「そのうち減価償却費がどのくらいを占めているか?」を必ず確認してください。
たとえば、赤字100万円のうち、減価償却費が120万円含まれていれば、実質的には黒字ともいえる状況です。

キャッシュベースの利益に近い概念として、EBITDA(営業利益+減価償却費)という指標もあります。
経営判断の材料として、このような非会計基準の利益水準も活用してみてください。


「どの赤字か?」を見極める

決算書にはいくつかの利益指標がありますが、「どの段階で赤字になっているか」は重要な見極めポイントです。

  • 営業利益:本業での利益
  • 経常利益:営業利益に営業外損益(利息など)を加えた利益
  • 当期純利益:最終的に残る利益

本業が好調でも、借入金の利息や一時的な特別損失などで赤字になるケースもあります。
逆に営業利益段階から赤字であれば、早期に本業の見直しが必要でしょう。


資金繰りへの影響も忘れずに

帳簿上の赤字とは別に、借入金の返済など資金繰りに直接影響を与える項目があります。
とくに、借入の元本返済は経費にならないため、帳簿上の赤字に加えて資金は出ていきます。

「赤字なのにお金が足りない」という状況を避けるためにも、キャッシュの流れと帳簿の動きをしっかり把握しておきましょう。


赤字決算こそ「次につなげる」チャンスに

赤字決算になってしまったときこそ、財務諸表をしっかり見直し、課題を整理することが大切です。
その分析が、次年度以降の経営に必ず活きてきます。

「赤字=悪」ではありません。
内容を正しく把握し、次の一手に活かせるかどうかが重要なのです。

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