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2025/06/09 コラム

利益がでているのに資金が増えない時に気にすべきポイント

決算書や試算表で利益がでているはずなのに預金残高が増えないと感じることはあると思います。

今回は薬局でそのようなことが起こる主な理由について解説します。

 

借入の返済がある

 

薬局を開業する場合には多額の借入をしていることが多いです。M&Aの手数料のためや物件の内装、薬剤の引継ぎ、保証金等多額な資金が必要になるため自己資金以外に金融機関から借入をして用意をします。

借入をした場合には帳簿上は借入金という科目で処理されます。
では返済した場合はどうかというと金融機関へ返済した金額を借入金のマイナスとし利息については支払利息として処理します。
支払利息については経費になりますが借入金のマイナスについては帳簿にあった借入金を減らすだけでそれが経費になることはありません。
そのため返済により利息と元本の額だけ預金残高は減っているのに経費として計上されているものがその一部という状況になります。

例えば500万円を7年で借入したとして場合に返済について利息は10万円未満、元本は70万円位になると想定します(細かい想定は省略します)。

仮に営業利益(本業での利益)で100万円の利益がでたとします。
利息については営業外費用となりますので100万円ー10万円を引いて90万円が利益(経営活動での利益)となります。

税金計算を25%(税率)+7万円とすると30万円が概ねの法人税額となります。
90万円ー30万円=60万円が税金を引いた後の利益となります。

これを見ると税金を払った後にも60万円の利益が出ているのでその分預金が増えるように思いますが、上記の通り70万円の借入の返済元本がありますのでこの場合には預金は増えないでしょう。

さらには税引後利益が仮に10万円だったとしたらどうでしょう。利益が出ているはずなのに預金はむしろ減っているでしょう。返済するためには利益が必要です

返済に応じた利益がだせないと利益がでているのに預金残高が減っていくという状況になります。

昨今は会計ソフトによっては資金繰りまで見える化できるものもありますのでご自身で把握が難しいようでしたらそういったものを利用するのも良いでしょう。

 

固定資産の減価償却費

 

薬局は店舗型サービスですので内装や備品が固定資産として処理されていることが多いと思います。

高額な固定資産を購入した場合にはその事業年度に全てが経費になることはなく耐用年数に応じて毎年経費(減価償却費)として処理していきます。
一方で資金については購入時に支払いをしているため(リース等を除く)既に手元にはありません。
経費になるのは数年かかるため手元に資金がないのに利益がでているということが起こります。利益と資金が一致しない理由の一つとなります。

特別償却という通常の減価償却費にプラスして追加で減価償却費を計上できる制度もあります。特に利益が出ている場合には検討してみるのもいいでしょう。

 

売上と仕入の入出金のタイミング

薬局の形態によっても異なりますが売上の入金と仕入の支払のタイミングが異なることが多いと思います。

売上についてはレセプトの請求から基本的に2ヵ月後となりますが、仕入については卸への支払いが翌月末であることがあります。
その場合には資金が出ていくタイミングの方が早いため利益がでていたとしてもそれが資金に反映されるには1ヵ月遅れることになります。

卸への支払いについてもできるだけ翌々月としてもらうことでこれは解消することはでできます。卸先と交渉してみましょう。

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